エコ・ミュージアム涌谷~箟峯寺

涌谷(宮城県遠田郡涌谷町)は江戸時代に仙台藩の要害が置かれ、武家屋敷や寺社などの歴史ある建物が多く残る歴史ある町です。「エコ・ミュージアム涌谷」では、代表的な文化財建造物を昔の復元イラストなどで紹介しています。この絵図は明治34年に描かれた「陸前國箟嶽山観音堂名所全図」(涌谷町教育委員会所蔵)です。
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仁王堂は天保13年(1842)の火災で、観音堂と一緒に焼失した後に再建されたのが現在の建物と伝わります。観音堂を建てる時の彫刻の試し彫りを仁王堂でしたという寺伝をもち、玄関部分に技巧を凝らした彫刻が散りばめられています。仁王堂が他の住坊より玄関が格式高い形式になっているのは、箟峯寺正面にある仁王門の仁王像の片方の管理を任せられていたからです。堂という格式が付くのは住坊群の中でも仁王堂と薬師堂、熊野堂のみでした。

三間一戸の八脚門で、文久2年(1862)に再建されたものです。四方をセガイ造りとし、入母屋造り銅板葺き(もと茅葺き)、正面に格子窓、周囲に板壁をめぐらせます。虹梁絵様は渦紋の分岐に花をあしらった幕末らしい華麗な彫刻です。

